2017年09月

所感

混沌の中に明日を垣間見る

プラトンは、哲人政治を唱えた。民主主義が衆愚政治に陥らないようにする歯止めである。

古代ギリシャは滅びたが、先哲の教えは生きている。

飛行機を作れなかったレオナルド・ダ・ヴィンチも、大陸間を数時間で移動できる未来は空想しただろう。

文明の進歩は空想をも実現する。明日の世界はどうなっていくのか。

世界の金融市場では、実体経済の100倍以上の通貨取引がなされている。

瞬時に世界を駆け巡る大量の情報を利用すれば、労せずして財貨の獲得が可能となる。

市場経済に大きな地殻変動が起きている。西暦2045年には、人工知能が人知を超えるという。

性能が人間の知能の1兆の1兆倍になり、全人類の知能の総和を凌駕するという予測だ。

人間よりも賢明である人工知能に、様々な価値判断を委ねる時代が訪れようとしている。

明日の世界は、情報を制する者が制する。

いかに多くの情報を収集するか。自らの価値基準を人工知能に組み込むか。

かつての領土や資源をめぐる争いが、情報の覇権をめぐる争いに変質する。

そうなれば政治の役割も変わってこよう。

社会の根幹には、人と人との絆がある。ロボットには人を抱え上げることはできるが、

やさしく労わることはできない。人工知能の演算では、人の心の痛みやぬくもりは理解できない。

情報は国境を超えるが、心の垣根は越えられない。

情報や人工知能に支配される無機質な社会においては、

人々の憂いを除き、幸福を最大にする血の通った政治の役割が、ますます重要になるに違いない。

平成二十九年 秋