2018年09月

所感 独立自尊の国家に

近代文化は、明治維新からおよそ七十年、大正から昭和初期に花開いた。
芸術や出版、金融、鉄道などの経済社会の仕組みも進歩し、政党政治、普通選挙に象徴されるデモクラシーも芽吹いた。
日本の伝統に西洋文明が溶け込み、大衆のエネルギーが育んだ独自の文化だ。
都留文科大学の新保教授は、これを独立自尊の文化と呼び、「日本の伝統という台木に西洋文明から学んだ接木がうまく結合した。」と指摘している。
芽吹きから成長へと移行する独自の文化も、戦後の数十年間、経済成長の陰で次第に色褪せていく。
欧米の文化に迎合するあまり、国民の誇りと国家の品格が失われていった。
今、豊かな自然と四季、社寺や日本食に強い関心を持って、毎年夥しい数の外国人が訪れる。
日本の伝統的価値は、外から再評価されつつある。
アジアでは、中国が覇権を拡張する中で半島情勢が急転回している。
シリアやパレスチナの紛争は、宗教や国家とは何かを問い直させる。
英国の離脱や移民政策をめぐって、EUの結束は綱渡りのように危うい。
新たな世界史が幕を開けようとしている。
日本は、国際社会の新たな舞台で、真の独立国家としての存在感を示すときではないか。
多彩な国土と歴史、品格の高い文化は、求心力として世界から人材と情報を集め、国民の自覚を促して、誇りを蘇らせるだろう。
維新百五十年を機に、独立自尊の国家を再興するのが政治の使命だと思う。
平成三十年 初秋