所感

市民意識が地域の未来を開く

民主主義が苦戦を強いられている。コロナ対策を果敢に実行する中国は、

権威主義のリーダーシップの強さと欧米型民主主義の脆弱さを浮き彫りにした。

英国の研究機関は、167の国と地域のうち、民主主義は74、非民主主義は93だと

分類している。

私たちの信ずる民主主義は、世界の大勢を占めてはいないのだ。

プーチンのウクライナ侵攻も、平和と民主主義に対する専制政治の挑戦に見える。

民主主義で連帯する国々は防戦に必死だ。

一方のロシアの人民は、領土を拡張し国益を保持するために、

したたかで強靭な政治の力を信じて支持するのである。

日本人は長い平和を謳歌し、台湾海峡の緊張もミサイルの飛来も対岸の火事にしか

見えていない。

危急存亡の事態に備える意識が、極めて希薄な国民性なのである。

危機感の欠如は地方においても同様である。

広島県は転出者が転入者を7000人も上回る転出超過一位の県となった。

若者をつなぎとめる魅力に乏しいのだ。

広島のかつてのリーダー達は、被爆からの復興を成し遂げ、都市圏を拡大する

様々な政策を実行した。

それが後世に大きな恵みをもたらしたのである。

第二次世界大戦による危機を乗り切ったイギリスのウインストンチャーチルは、

「偉大さの代償は責任である。」という言葉を残している。

リーダーと仰がれるからには、市民の幸福と地域活力を維持し、

平時にこそ危急存亡の事態に備える使命がある。

何事も為さねば徒に時が過ぎる。このまま為政者の無責任を看過すれば、

中国地方の雄県としての存在感も風前のともし火である。

民主主義の危うさが地方自治にまで及ばぬよう、

偉大なリーダーを選ぶことのできる高い市民意識が求められている。

我々一人ひとりの行動が地域の豊かな未来を開くのである。

令和四年 盛夏