2019年01月

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

一陽来復『いちようらいふく』(易経)

新しい時代への風が吹いている。

東西冷戦が終結し、国際秩序や宗教、政治のあり方が激変した。

ITなどの情報テクノロジーの向上は、産業経済の飛躍的な成長を促している。

世界史の新たなステージとともに平成の世がうつろい、今春には改元が行われる。

初春の訪れ、そして改元が開く新たな世に、吉事が再び戻る一陽来復を祈念したい。

往古、王位を授かり次代に禅譲するまでの30年を『世』と名付けた。

皇位が代わって30年を経たこの度の譲位は、文字通りの『世継ぎ』と言えよう。

福沢諭吉は『帝室論』の中で、皇室は党派に偏らない超越的存在であるべきと説いた。

『ひとり万年の春にして、人民がこれを仰ぎ見れば悠然として和気を催す』

政治の役割は国家の秩序を整えることだが、皇室は国民精神の支柱であると論じた。

『君臨すれども統治せず』というこの思想は、新憲法の天皇制にも活かされた。

大化の改新から平成に至るまでの1300年の間に、247の元号が使われてきたという。

元号は世界で唯一、日本だけに残っている制度である。

国の象徴が天皇であるように、元号を日本文化の象徴として継承する意義を感じる。

年頭謹白

本年の皆様のご健勝とご多幸を心から祈念いたします。

平成三十一年元旦